パンとともにバラを

----人間らしく生きるために必要なのは、「パン」に象徴される物質的な豊かさと「バラ」に象徴されるゆとりと文化。------  この生きづらい社会を少しでもよくするためにみんなで考えたい。

 

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フォイエルバッハ論(13) 体験的・古典の修行

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●善と悪、幸福について

善は善、悪は悪。普通はそう考えています。しかし、ヘーゲルは「悪とは、歴史的推進力が現れるさいの形式」(102ページ)と言ってのけます。一方では、「神聖なるものへの冒涜(とく)として」、他方では「人間の邪悪な熱情、つまり所有欲や支配欲が、歴史的発展の槓杆(てこ)になっている」からです。実際の歴史、現実は「善は善」「悪は悪」と単純にいかないんですね。仮面ライダーやウルトラマンの世界とは違う(笑)。

フォイエルバッハの語る道徳は貧弱で、その基礎は幸福を求める衝動です。

しかし、この幸福衝動は二重の修正をこうむります。第一は、飲み過ぎの結果が二日酔いになるように「行為の自然結果」として。第二に、他人の幸福衝動は、他人のそれをも尊重しなければならないという「行為の社会的結果」として。

この陳腐な幸福論に、エンゲルスは次の幸福論を対置します。

「幸福衝動は、人間が自己自身に関わるだけではきわめて例外的にしか充足されず、みずからも他の人びとにも利益をもたらすことはない。かえって幸福衝動は、外的世界の関わりを、充足の手段を、つまり食料、異性の個人、書物、娯楽、討論、活動、利用し加工する対象を必要とするのである」(104ページ)。



これら「充足の手段」なしに「愛」をさけんでも、「それでも愛は勝つ」ことにはならない。それは「充足の手段」をもっている人たちの幸福論にすぎないのです。

●株式取引所こそ倫理の殿堂

こうしたフォイエルバッハの道徳論の行き着く先は「株式取引所」です。「株式取引所こそ、倫理の最高の殿堂」である。愛と幸福の行きつく先が「株式取引所」??。

それはなぜか。儲かったときは、幸福衝動は満たされます。損した人がいても、それは非倫理的にすぎません。フォイエルバッハは愛と幸福を手に入れ、損したときは非倫理的な行為をした。ただそれだけのことです。

「私が取引所で取り引き操作の結果を正しく予見し、それゆえ首尾よく成果をあげるなら、私はフォイエルバッハの道徳の最も厳格な要請をすべて満たし、その上に金持ちになるのである。換言すれば、フォイエルバッハの道徳は、たとえ彼自身はそれを欲せず、また予期することもないにせよ、今日の資本主義に適合しているのである」(107ページ)



当たり前の話ですが、得をする人(企業)がいれば、損をする人(企業)がいる。それが「証券取引所」です。よく「絶対儲かる」という電話がかかってきたりしますが「絶対儲かるなら、あなたが買いなさい」と応えましょう(笑)。

ヘーゲル哲学から出発し、それを乗り越えようとしたフォイエルバッハでしたが、彼のたどり着いた先は「証券取引所」であり、「資本主義社会に適合」したものに堕してしまったのです。

●この章のまとめ

フォイエルバッハの道徳は無力でした。幸福衝動を満たす物や条件なしに「愛せよ」「幸福を求めよ」と言っても、何の足しにもならないからです。

「現実には、どの階級も、いやどの職業でも、それぞれ固有の道徳をもち、罰せられなければそれを破りもするのであって、万人を1つにするとされる愛は、戦争や紛争、訴訟、家庭内不和、離婚、そして一階級の他階級による可能な限りの搾取のうちに本性をあらわすのである」(109ページ。訳文は一部変えた)。



フォイエルバッハの望んだ「愛」の実現、「実践的生活のすべての困難を耐え抜く力」はなぜ、無力に終わったのでしょうか。フォイエルバッハは、彼の忌み嫌った「抽象の国」から出て、「生きた現実」に行きつく道をみつけだせばよかったのです。しかし、それを果たすことはできませんでした。その理由はすでに述べた通りです。

フォイエルバッハが踏みだすことが出来なかった歩みは、マルクスとエンゲルスによって『聖家族』(全集②)というブルーノ・バウアー批判として始まったのです。これが前回の冒頭に書いた「ヘーゲルを真に批判的に乗り越えたのは誰か?」の答です。

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プロフィール

ふたみ伸吾

Author:ふたみ伸吾
二見伸吾
府中町議会議員(日本共産党)
広島県労働者学習協議会 講師
広島県九条の会ネットワーク 事務局員

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