パンとともにバラを

----人間らしく生きるために必要なのは、「パン」に象徴される物質的な豊かさと「バラ」に象徴されるゆとりと文化。------  この生きづらい社会を少しでもよくするためにみんなで考えたい。

 

Category: 政治   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

再読・『安倍政権論』

20130312172119.jpg
 

安倍政権についての本がもう出たのか、と思われるかもしれない。しかし、そうではない。この本は、安倍第1次政権を分析した渡辺治著『安倍政権論-新自由主義から新保守主義へ』(2007年7月に刊行、旬報社)である。第1次安倍政権は2006年に発足し、さまざまなスキャンダルにまみれたうえ、参議院選挙で惨敗。1年あまりで総辞職した(本人は病気のせいにしているが…)。

 本書でも述べられているとおり、安倍政権の特徴は、「憲法改正を政権の課題」とし、それを自分の任期中にやりとげると強力に打ち出した点にあった。
 この安倍政権が自民党史のなかで異例ともいえる再登板を果たし、いま私たちの暮らしを根本から脅かそうとしている。

 この第2次安倍政権の性格がどういうものなのかを知り、それといかにたたかうのかを知る上で5年前のこの本は決して過去の本ではない。

 第2次安倍政権について、渡辺治さんは、すでにいくつかの講演録、論考(たとえば「新段階の日本政治と憲法、アジア」『月刊 憲法運動』13年3月号)、「総選挙の結果と日本政治のゆくえ」『季論21』13年冬号)が出されているが、それらをより深く理解する上でも本書は役にたつ。

 本書は、「(保守支配層が求めた)軍事大国化と新自由主義改革の完成を委ねられて登場した内閣である」と安倍政権を性格づけ、副題も「新自由主義から新保守主義」へとしている。「新保守主義」とは、「新自由主義改革で拡大した階層間格差と貧困に起因した社会統合を……弥縫(びほう)すること」をめざすこと。そう「美しい日本」「日本を強くする」を呼びかけ、強要のもとに取り繕ろうとすることだ。
 私たちが再び直面している改憲の大波は、「二本建て戦略」をとっている、と渡辺さんは言う。一つは、改憲実行のための「クルマの両輪」を完成させること。もう一つは、明文改憲をめざしつつ、解釈改憲でも、アメリカとともに戦争ができる体制を整えることである。

 改憲のための『クルマの両輪』とは、第一に、96条を変え、改憲の発議を国会の両院における三分の二の多数の賛成から過半数の賛成へとハードルを下げることである。第二に、改憲手続法を制定することである。(これは内容だけでなくその投票年齢が決まっていないなど形式においても欠陥法であるが2007年に制定された)。

 もう一つの、明文改憲と解釈改憲を同時追求する路線である。
 安全保障基本法をつくることによって「『集団的自衛権』の限定的行使の道を開き、とりあえず米軍の軍事行動に対して今まで以上に深く関与する方途を探りつつ、明文改憲によって米軍のとの軍事共同作戦を全面解禁する枠組みをつくり、それを受けて、再度『安全保障基本法』の改正で全面的な米軍との共同作戦行動を規定しようというもくろみであろう」(83ページ)

規制緩和など市場原理主義を核とする「新自由主義」および、それによる社会統合の崩れを補おうとする「新保守主義」についてもぜひ本書を参照していただきたい。
 それらの路線が、自壊した民主党政権をへて、再登板した第2次安倍政権によってどのように引きつがれ、どのように変容したのか。

 この間、国民はさまざまな問題に直面し、新たな声を上げ始めた。
 本書が書かれたときにすでに動いていた「九条の会」((2004年)。貧困に対しては「派遣村」(2009年)に象徴される反貧困の運動。福島原発事故後の反原発の運動(2011年)。新自由主義的政策に対する反撃、TPP〔環太平洋経済連携協定〕に農協や医療機関の反対運動、2011年)、公的保育の破壊(待機児童の増加)に対して、「保育所をつくって欲しい」という母親たちの運動(2013年)。これらの国民的反撃をさらに大きく、強くするために、本書は刊行から5年を経た「今こそ旬」である。

120218_1455~0002


Comments

05 2017 « »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
プロフィール

ふたみ伸吾

Author:ふたみ伸吾
二見伸吾
府中町議会議員(日本共産党)
広島県労働者学習協議会 講師
広島県九条の会ネットワーク 事務局員

アクセスカウンター
本を買うなら
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Archive

RSS