パンとともにバラを

----人間らしく生きるために必要なのは、「パン」に象徴される物質的な豊かさと「バラ」に象徴されるゆとりと文化。------  この生きづらい社会を少しでもよくするためにみんなで考えたい。

 

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松竹伸幸『憲法九条の軍事戦略』(平凡社新書)を読む

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 まずタイトル「憲法九条の軍事戦略」に度肝を抜かれた。憲法九条に「軍事戦略」などあるのだろうか?九条と一体をなす憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」し、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」とあるではないか。九条のどこに「軍事戦略」などあるものか、と誰もが思う。

 しかし、憲法九条の「軍事戦略」という物騒なタイトルをなぜ考え、その内実はなんなのかについて一人ひとりが虚心になって読んでみることが必要ではないか。論旨は明快で予備知識のない人でも十分理解できる。

 著者は護憲の立場にたちつつも、軍事戦略が必要だという。なぜそう考えるに至ったかは「第一章 九条の軍事戦略が必要とされる理由」に述べられているので、詳細についてはここでは書かない。ただ、著者の「軍事戦略」のスタンスについてだけ紹介しておこう。それは、①「専守防衛」(=よその国に出ていかない)を本来の意味どおりにすること、②周辺諸国の軍隊との対立を減らし、協調を増大させること、③将来的には軍事力を必要としない世界をめざすこと、の三点である。「軍事戦略」とは九条から離れていくことではなく、九条実現のためのアプローチなのだ。

 第二章では「戦後日本に軍事戦略は存在したのか」という観点から、日本の支配層の軍事戦略を歴史的に分析している。
 第三章は、「九条の『制約』は『優位性』に変えられる」というタイトルである。戦後、日本国憲法と安保抑止論、自衛隊の存在は「ねじれ」ていたし、今もねじれている(だからこそ安倍自民党政権はなんとかして改憲し、安保抑止論の方向で「統一」したいと考えているわけだ)。歴代自民党政権は、安保抑止論の立場で自衛隊の増強するさい、憲法とりわけ九条との整合性をどのように図るのかに苦慮してきた。これが支配層からみた「九条の制約」である。著者はこの制約を逆手にとって、九条の軍事戦略の柱にしようという。軍事戦略のスタンスと重なる部分もあるが、①専守防衛と「自衛権」、②武器の制限、③集団的自衛権は行使できない、という縛りが戦後史のなかで積み上げられてきた。支配層にとっては「制約」であったものが、われわれにとっては「優位性」に転化する可能性があるし、そうすべきだというのが著者の立場である。

 第四章はそれをさらに展開したものであり、第五章は憲法九条の実現、憲法九条の軍事戦略の遂行と日米安保条約の矛盾をどう解決すべきかについて著者の見解が述べられている。「憲法九条の軍事戦略」を持つべきか否か、日本国憲法が改憲の危機にされされているからこそ、一人ひとりが検討すべき問題提起だろう。

  

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96条改憲は単なる手続上の問題ではない。

自民党や維新の会が96条「改正」を7月の参議院選挙の争点にする、といっています。

日本国憲法は96条で改正要件をさだめており、衆議院・参議院とも三分の二以上の賛成で改憲の発議をし、国民投票のかけることになっています。

自民党は「日本国憲法改正草案」を昨年つくり、日本国憲法の全面改造をしようとしています。

その手はじめに96条を変えて、改憲をしやすくするという姑息な手段にでているのです。

ネットで見つけた冷泉彰彦さんの論考は個々の点では、私の考えと一致しませんが、最後に述べている点は同感です。
それは、96条改正と「どのような憲法がふさわしいのか」と言うことは分かちがたく結びついていて、別個に論議するわけにはいかないということです。

ここまで考えてみて痛感させられるのは「どのような憲法がふさわしいのか?」といういわば「憲法観」というのがなければ、96条の改正を議論するのは難しいということです。漠然と「現状は余りにも変えにくい」とか「まず変えやすくしておいて、中身の議論はその次に」という主張だけでは、(2)にあるような政治的な駆け引き以前に、憲法改正の実務という意味からも国民の過半数の支持を得るのは難しいのではないかと思います。


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幸福追求権が何条かも知らない人が改憲を声高に叫ぶ

3月29日、国会の予算委員会で安倍首相は幸福追求権が何条か答えられませんでした。

このyoutubeの動画をぜひご覧下さい。

幸福追求権が何条かも知らない人が改憲を声高に叫ぶ。おそろしいことです。幸福追求権は13条に明記されており、日本国憲法で背骨のような全体を支える存在です。憲法尊重擁護義務をもつ「国務大臣(首相をふくむ)」「国会議員」であれば当然知っていなければならない条文でしょう。

「そういうことは大学の講義でやっていただきたい」「このやりとりに何の意味があるのか」といってのける安倍首相には驚き、あきれるばかりです。

「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由、幸福追求権は、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限の尊重を必要とする」

自民党の改憲案では13条は「公共の福祉」(みんなの幸せ)から「公益及び公の秩序」に変えています。国(政府、権力者)の利益、国の示す秩序に反しない限りという意味。13条は逆さまに変わってしまう。

自民党改憲案第13条「全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない」

(「個人」を「人」に変えたことにも問題があるが、ここでは触れません)

以前から、13条に「公共の福祉」という挿入が必要かどうかも疑問視されています。
「日本国憲法が、その条項に、公共の福祉をもちだしたことは、立法技術的にいって無用であったと見るべきであり、また、それは、賢明でなかったとも評される」(宮沢俊義『憲法Ⅱ』236頁)

宮澤氏は、「司法試験などの受験界では『宮沢説』は通説」とみなされ、「日本国憲法の制定は日本国民が自発的自主的に行ったものではない」「大日本帝国憲法の部分的改正で十分ポツダム宣言に対応可能」という「押しつけ憲法論」の立場に立っていた(ウイキペディア)と評される人物で、けして「革新的」あるいは「左翼的」な研究者ではありません。

自民党の改憲は、そういうわざわざ入れることない「公共の福祉」を、「公益及び公の秩序」という言葉にすりかえて挿入したのでしょう?

答えは大日本帝国憲法にあります。その前文で「朕ハ我カ臣民ノ権利及財産ノ安全ヲ貴重シ及之ヲ保護シ此ノ憲法及法律ノ範囲内ニ於テ其ノ享有ヲ完全ナラシムヘキコトヲ宣言ス

第23条日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問処罰ヲ受クルコトナシ

第28条日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス

第29条日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有ス

大日本帝国憲法は、このように「臣民の権利」を法律の枠内に閉じこめたのです。信教の自由も、言論著作印行(印刷して発行すること)集会及結社の自由も法律でいくらでも制限できました。

「治安警察法」や「治安維持法」がまさにそれです。
少なくない著作が伏せ字「××××××××」を余儀なくされ、小林多喜二などは拷問によって殺されました。
自民党の改憲案は「公益及び公の秩序」に反しているとみなせば人権は制限できるということなのである。
生命も自由も、幸福追求権も「最大限に尊重される」と書きつつ、それは「公益及び公の秩序」の範囲内ですよ、というまやかし。
 正直に、生命、自由、幸福追求権は、公益および公の秩序にしたがって制限可能なものである、と書けばいいのに…。

そんなもの誰が支持する!






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早く読みたい、『憲法九条の軍事戦略』

かもがわ出版の松竹伸幸編集長が、今度、『憲法九条の軍事戦略』という本(平凡社新書)を4月17日にだすという。

編集長の冒険


いつも斬新な提起をする松竹さんだが、今回のタイトルほど驚くものはない。

平和憲法「と」軍事戦略がどのように結びつくのか。一見、水と油のようなこの両者を松竹さんはどのように展開しているのか。

かつて、社会党の「非武装中立」はリアリティがないと批判し、「中立自衛」こそが正しいといい、ソ連崩壊後、そして自民党の改憲策動が強まるにつれ、九条に基づく「話しあい」による解決ということに「転向」したボクとしては、この問題をつきつめて考える必要がある、とこのタイトルに、ぐさっとき、よろよろとした。


発売まであと1週間。興味津々である。早く読んでみたい。


追記


■□■市民社会フォーラム協力企画のご案内■□■
松竹伸幸さん『憲法九条の軍事戦略』出版記念講演会

日 時 4 月24 日(水)開場18:30 開会19:00
会 場 神戸市勤労会館多目的ホール(2 F)
参加費(本代込) 1,000 円
主催 :9 条の軍事戦略・実行委員会
( 問い合わせ) Tel:090-9619-9007(大西)
mail: candycapcookie@gmail.com

松竹伸幸さんの新著『憲法九条の軍事戦略』(平凡社新書)の出版を記念し、講演会を開催します。

内田樹氏推薦!!
「『自分の国は自分で守る』という常識的立場から対米従属派の没論理をきびしく批判する。九条と防衛の両立をめざす実にプラグマティックな論考。
誰かがこういう本を書かなければならないと思っていたら松竹さんが書いてくれました」




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日本政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」開催に反対する

歴史学研究会が、4月28日の政府主催「主権回復を記念する式典」に反対する声明を発表しました。

安倍晋三内閣は、2013年3月12日閣議において、サンフランシスコ平和条約が発効した日にあたる4月28日に「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開催することを決定した。政府は、この式典が「完全な主権回復と国際社会復帰を記念し、平和と繁栄への責任ある貢献を確認するとともに、未来を切り開く決意を確固とする」意図で行われるものだと説明している。こうした式典構想の背景には、占領期に進められた民主化・非軍事化政策を過小評価し、占領期を「主権喪失」の時期と位置付けることで、憲法改悪と教育への政治介入を進めていくねらいがあるものと考えられる。この式典は、かねてから「主権回復の日」を祝日としようとしてきた自民党内の勢力が働きかけて急遽閣議決定されたもので、国民の支持を得ているとは到底いえない。更に、この式典が以下のサンフランシスコ平和条約をめぐる問題点を無視した上で行われようとしていることは絶対に看過できない。

 サンフランシスコ平和条約は、調印形式や構成国に関して問題点があった。この条約は、いわゆる全面講和論をはじめとする国民の批判を無視して結ばれている。さらに、日本の植民地支配や侵略戦争によって最も深刻な被害を与えた中国(中華人民共和国・中華民国)や朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国・大韓民国)の代表は会議の場に招かれておらず、社会主義国であったソ連など3カ国は調印を拒否している。本条約は平和条約として多くの課題を残すものであった。更に、こうして形成された国際秩序が、東アジアにおける戦争や対立を深めるものであったことも忘れてはならない。調印当時に国民の批判が無視されたこと、そして「国際社会への復帰」がアメリカ中心の西側諸国という限定的な枠内での復帰であったことを、この式典は無視しようとしている。

 サンフランシスコ平和条約は、日本の戦争責任・戦後責任問題を曖昧にさせ、日本とアジアとの関係に大きな禍根を残すものとなった。本条約では、アメリカが日本の経済復興とアジアの安全保障を優先したため、日本によるアジア諸国への賠償がきわめて軽いものとなっている。この内容について東南アジア諸国は強い不満をもっていた。具体的には、平和条約ではアジアの人々への金銭による賠償が認められていない。後に行われることになる東南アジア諸国への賠償も、経済協力などを主な内容とするものであり、日本にとって事実上の「貿易」であった。また、条約発効と同日には日華平和条約が締結されるが、これらはいずれも戦争責任・植民地支配責任という観点からみると極めて不十分で、今日に禍根を残すものであった。一方、中華人民共和国や朝鮮民主主義人民共和国は承認すらされず、むしろ朝鮮戦争のなかで日本はその「侵略」を批判する側にまわることになる。これら一連の過程が、アジアの分断を生みだしたことを忘れてはならない。今回の式典構想は、サンフランシスコ平和条約や当該期の政治過程が、日本の戦争責任・戦後責任、そして植民地支配責任が曖昧にされる上で重要な契機となったことを無視するもので、アジアの人々が受けた戦争被害や、講和条約後も抱えることになった辛苦への理解・配慮が全くない。

 本土から沖縄、奄美群島、小笠原諸島を切り離した「主権回復」であった。沖縄、奄美群島、小笠原諸島は本土から切り離されて米国の施政権下に入ることになった。沖縄では4月28日を「屈辱の日」と捉えている。沖縄戦後、米軍によって多くの土地が奪われた沖縄は、4月28日以降、米軍による土地の強制収奪がさらに強行され、基地の島にされたからである。沖縄県民の声を無視して式典を強行する政府の対応には深刻な問題がある。

 サンフランシスコ平和条約の発効した4月28日は、安保体制を軸とした対米従属が始まった日でもある。サンフランシスコ平和条約は新たな条約による「外国軍隊の日本国の領域における駐とんまたは駐留を妨げるものではない」としていたため、日米安全保障条約が締結され、日本政府は米軍の駐留を容認することとなった。日米安保と在日米軍の存在は、アメリカの軍事戦略の一部を日本が担い、国民生活を危険にさらして現在に至っている。この式典は、沖縄をはじめ日米安保を基軸とする対米従属構造のなかで、重大な危険と負担を強いられている人々の存在を無視している。また、安倍内閣はオバマ政権からの圧力を受けて軍事力強化を進めようとしているが、これらの対米従属姿勢は、「主権回復」の本来の意味からは大いに矛盾をしている。

 サンフランシスコ平和条約の発効後、日本政府が旧植民地出身者への差別的な政策を進めたことも忘れてはならない。朝鮮・中国の代表が署名していないにもかかわらず、条約発効を根拠に通達により一方的に朝鮮人・台湾人の日本国籍喪失措置をとって無権利状態に置いた。さらに、条約発効と同日に制定公布された外国人登録法は、外国人を治安政策上の管理対象とする発想から初めて外国人登録法制に指紋押捺を設けた。また、国籍・戸籍条項により朝鮮人・台湾人は「軍人恩給」や「戦傷病者戦没者遺族等援護法」の対象から除外されることになった。後に旧軍関係者への恩給・給付金は増額されてゆくが、その反面、旧植民地出身者は援護から外され、極めて差別的な扱いを受けた。平和条約が旧植民地出身者への差別的な戦後補償の原点となったことを看過してはならない。

 以上のような問題点を無視し、安倍内閣が「主権回復の日」としてのみ記念しようとしていることは到底容認することは出来ない。歴史学研究会委員会は、世界と日本に暮らす人々の4月28日に対する複雑な心情を踏みにじり、人々の歴史認識を歪曲しようとする安倍内閣に強く抗議をし、式典の開催に反対する。


2013年4月1日
歴史学研究会委員会

→歴史学研究会声明
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プロフィール

ふたみ伸吾

Author:ふたみ伸吾
二見伸吾
府中町議会議員(日本共産党)
広島県労働者学習協議会 講師
広島県九条の会ネットワーク 事務局員

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